クライミングをやっている人なら、プロクライマーの背中や肩甲骨を見たことがあると思います。東京、パリオリンピック、スポーツクライミング日本代表の楢崎智亜選手の肩甲骨は、羽のように広がっているのをご存知ですか?
クライミングで更なる上達を目指すのなら、肩甲骨の役割と知っておくことと、その柔軟性を手に入れることはとても重要です。
この記事では、肩甲骨の役割を解説するとともに、可動域を広げて柔軟性を高めるための効果的なストレッチ方法についてご紹介したいと思います。
肩甲骨が硬いことにメリットは何もないよ!
- クライミングにおける肩甲骨の重要性を知りたい人
- 肩甲骨を可動域を広げたい人
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肩甲骨とは?
肩甲骨(けんこうこつ)は背中の上部にあり、人間の肩の後ろ側にある平たい三角形の骨です。
肩甲骨は、腕や肩の動きを支える重要な役割があるだけでなく、肩周りの筋肉と連動して、さまざまな動きをサポートしています。
肩甲骨の機能
1.運動のサポート:肩甲骨は上腕骨と鎖骨と共に肩関節を構成し、腕を上げたり、回したり、引いたりする動きを補助します。
2.筋肉の付着点:肩甲骨には多くの筋肉が付着していて、これらの筋肉が連動することで肩や腕の動きがスムーズになります。
3.力の伝達:肩甲骨は、腕と体幹の間で力を伝える重要な役割を果たします。
肩甲骨の動き
肩甲骨の動きには以下のような種類があります。
- 挙上(きょじょう):肩を上げる動き
- 下制(かせい):肩を下げる動き
- 外転(がいてん):肩甲骨が外側に広がる動き
- 内転(ないてん):肩甲骨が内側に寄る動き
- 上方回旋(じょうほうかいせん):肩甲骨が上方向に回る動き
- 下方回旋(かほうかいせん):肩甲骨が下方向に回る動き
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クライミングは肩甲骨が大事
クライミングにおいて肩甲骨は非常に重要な役割を果たします。肩甲骨を適切に使うことで、様々なムーブを可能にし、ケガを予防にも欠かせません。
肩甲骨が適切に動かせると
効率良く力を伝達できる
肩甲骨は上半身と腕をつなぐ架け橋です。肩甲骨が安定して適切に動くことで背中の筋肉を効率良く腕に伝え、ホールドを保持したり引きつけたりする力が最大化されます。
肩の可動域の確保
肩甲骨の柔軟性が無ければ腕を大きく動かすことが難しくなります。クライミングでは腕の頭上に伸ばしたり、横に大きく広げたりする動作が多いです。
肩甲骨が柔らかければ、これらの動作をスムーズに行うことができます。
身体の姿勢維持
肩甲骨の正しい位置が、登っているときの姿勢の安定につながります。
特に傾斜の強い壁を登るときには、肩甲骨を下げるようにホールドを持つことによって体幹が安定し、腕への負担を減らしてくれます。
筋肉の連動性
肩甲骨の周りには多くの筋肉があります。僧帽筋、広背筋、菱形筋などの筋肉が連動して動くことで、引きつける力や身体を持ち上げる力が最大化されます。
肩甲骨が動くことによって、これらの筋肉がスムーズに連動してくれます。
肩甲骨が動かないと
逆に肩甲骨が正しく動かなければ、背中の大きな筋肉を使うことができず、自然と肩が上がり、腕まわりの小さな筋肉で体重を支えようとしてしまいます。
腕や肩の筋肉を酷使することになるので、すぐに疲労が溜ってしまったり、自然と故障が増えたりしてしまいます。
姿勢が自然と悪くなるので、クライミング全体のパフォーマンスが低下してしまうでしょう。
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セルフチェックしよう
ご自身の肩甲骨の状態をチェックしてみましょう。
① 壁に背を向けて立ちます。
② 手のひらを下に向けて、肘を伸ばした状態で腕をゆっくりと上げていきます。
③ 腕が何度上がっているかを確認します。
腕が60°上がらない人は、クライマーにはいないと思いますが、もし60°上がらない状態でクライミングをする場合は、ケガのリスクがかなり高い状態だと思った方が良いです。
60°~上がる方であれば、日常生活で困ることはないレベルですが、クライマーとしては硬いと言えるでしょう。
クライマーであれば、90°~上がることが理想です。
可動域を広げるストレッチ
ストレッチ①
肘を伸ばして腕を耳の後ろで上げます。このとき、肩甲骨を上に引き上げるように意識しましょう。その後、ゆっくりと肘を下げていきます。肩、肩甲骨も下げましょう。(画像左)
これを1セットを10秒かけて行い、10回繰り返します。
次に手のひらを地面に向け、肩甲骨を左右に開くことを意識しながら腕を前に伸ばします。その状態から肩甲骨を内側に寄せながら肘を曲げます。(画像右)
これも1セット10秒かけて、10回繰り返します。
ストレッチ②
壁の角に立ち右手を腕を90°上げ、更に肘を90°曲げて壁を触ります。その状態からゆっくりと頭を下げ、痛気持ちいいくらいの角度で止めます。(画像左)
頭を下げて8秒、元に戻って8秒で1セットとして、5セット行います。
身体の後ろで手のひらを床に向けて組みます。腕を上げ、ゆっくりと前方に頭を傾けていきます。肩を傷めないように気をつけながら行いましょう。(画像右)
1セット10秒で、5セット行います。
ストレッチ③
椅子に座った状態でも肩甲骨のストレッチは可能です。
手で肩の上を触りながら、肘を前方、後方にまわします。肘を回すことを意識すると、自然と肩甲骨が動くので、肘でできるだけ大きな円を描くように動かしましょう。(画像左)
前方に10回、後方に10回大きくまわします。
椅子に座った状態で、両手伸ばして組みます。背中を後ろに引きながら頭を前に倒しましょう。(画像右)
息を吐きながら10秒5セット行います。
ストレッチ④
椅子に座った状態で行います。
① 肘を90°曲げて上げ、顔の前で合わせます。
② 腕を上げた状態で肩甲骨を引き寄せながら後ろに引きます。
③ 頭の上で両手の甲をつけるように腕を上げます。肩甲骨を上に持ち上げること意識しましょう。
これをゆっくり10セット行います。
まとめ
いかがだったでしょうか?
スポーツにおいて、肩甲骨が柔らかくなることはメリットしかなく、クライミングも例外ではありません。
肩甲骨がスムーズに動くことによって、背中、胸、肩、腕の筋肉が連動して身体を持ち上げてくれます。また、ケガの予防にも肩甲骨の柔軟性が欠かせません。
肩甲骨が硬くて悩んでいるのなら、今からでも可動域を広げるストレッチを実践してみてはいかがでしょうか。
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