
「なんか最近、ガストンすると肩が痛む…」
「登っている最中は気にならないけど、帰り道で肩がジンジンする…」
そんな経験ありませんか?
ボルダリングはとても楽しい反面、身体のあちこちに大きな負担がかかるスポーツですよね。中でも特に、「肩」にかかる負担を相当なもので、一度肩を痛めると、痛みで集中して登れなくなってしまいますよね。
この記事では、
- ボルダリング中の肩の痛みの原因
- 自分でできる肩のセルフチェック方法
- すぐにできる対処法と予防のコツ
について、クライマー目線で分かりやすくまとめてみました!

肩の痛みは長引くから、しっかりとケアしましょう!
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肩の痛みの主な原因

肩関節は身体の中でも特に自由に動く関節ゆえに、その分トラブルも起おぱきやすい場所なんです。無理し過ぎたり、ストレッチをサボったり、日々の姿勢が悪かったり、実は肩が痛い原因はいろいろとあります。
ここでは、クライミングで多い、主な肩の痛みの原因についてご紹介したいと思います。
上腕二頭筋長頭腱炎(じょうわんにとうきんちょうとうけんえん)
「上腕二頭筋」とは、力こぶの筋肉のことです。その上部(肩に近い部分)の筋肉は、肩の前を細い溝に沿って通っていて、とても繊細な部分です。
そこに繰り返し負担がかかることで炎症が起き、肩の前側が痛くなります。
特にアンダーホールドで腕を引きつけたり、ファットピンチをギュッと握るときに痛みが出やすいです。

クライマーに一番多いのが上腕二頭筋長頭腱炎です。
腱板損傷(けんばんそんしょう)
肩の中には「ローテーターカフ」と呼ばれるインナーマッスルが4つあって、それをまとめて腱板といいます。
この腱板があることで、肩がグラグラすることなく安定して動くことができるのですが、クライミングのような引っ張ったり、身体を支えたりっていう動きが多いスポーツでは、鍵盤にかなりの負担がかかります。
この腱板が炎症を起こしたり、小さく傷ついたりすると、「肩上がりづらい」や「引きつけると痛い」という症状が出ます。
インピンジメント症候群
インピンジメント症候群は、簡単に言うと「肩の中で筋肉や腱が骨に挟まって、炎症を起こす」という状態のことです。
例えば、腕を上げる動作で痛みが出たり、腕を下ろすときにズキッときたりして、夜寝てるときに痛みで目が覚める人もいます。
この状態になると、ただの疲れとは違って、じわじわ悪化してしまうケースもあるので、早めに気づいてケアすることが大事です。
肩の痛み、セルフチェックしてみよう
「これってただの筋肉痛?それともケガの兆候?」そんなときに、これから紹介するセルフチェックをしてみてください。
Step1. 肩の前を押してみる
肩の前側、ちょうど力こぶの上あたりを指で軽く押してみましょう。
- 「押すとズーンと痛い…」
- 他の場所と比べて明らかに違和感がある…」
このような場合は、上腕二頭筋長頭腱炎の可能性があります。痛みがある場所=炎症が起きている場所、と考えてよいでしょう。
Step2.棘上筋テスト
腱板の筋肉の中で1番損傷しやすい棘上筋が傷ついているかチェックします。
- 腕を横に伸ばした状態で、外側から腕を上げていきます。
- 親指を上に向けた状態と下に向けた状態の2パターンで行います。
痛みが出た場合は腱板の棘上筋が傷ついている可能性があります。
Step3. 腕を内側に回して上げてみる(ホーキンステスト風)
- 腕を肩の高さまで前に上げます。(肘は直角に曲げてOK)
- そのまま肘を内側にギュッと押し下げるように動かす。
このとき、肩の奥や前側にズキッとした痛みが出る場合、インピンジメント症候群の疑いがあります。
肩が痛い時の対処方法
クライマーなら「肩が痛いけど登りたい!」って思ってしまいますよね。僕もそうです。
でも、無理して登り続けると、もっと痛くなってしばらく登れなくなってしまう、なんていうことも…。
そうならないためにも、今できる対処法を押さえておきましょう。
1.まずはレスト
「そんなの当たり前でしょ!」と思われてしまうかもしれませんが、ちょっと痛みが引いたら、「登れるかも…」と言って、登ってしまっていませんか?
「痛みがある=炎症が起きている」証拠なので、無理に登り続けていると、腱や筋肉を更にいてめてしまう可能性大です。
どうしても登りたいときは、グレードを下げる、痛みの出ないムーブをする、登る頻度を落とす、など「攻めない登り方」に切り替えましょう。
2.テーピングで保護する

軽い痛みや違和感程度であれば、テーピングが救世主になることも。
肩の前側と横にキネシオテープを貼ることで、腱や筋肉の動きをサポートしてくれます。
- 前側に貼るときは、腕を少し後ろに引いた状態で貼ると◎
- 横に貼るときは、内側に引いてから貼るとフィットしやすい

見た目と機能性を考えると、僕はKTテープをおすすめします!
ZAMSTのサポーターもおすすめです。
3.病院へ行く
当たり前ですが、病院へ行くことが1番です。
「どうしても痛みが引かない」「夜もズキズキする」そんなときは我慢せずに整形外科へ行って、医者に診てもらってください。
次の章では、「再発しない肩を作るためのセルフケア&エクササイズ」をご紹介します。
セルフケア・エクササイズで再発防止
3つのセルフケアに使えるエクササイズをご紹介します。このエクササイズをボルダリング前と後にすることで、肩を痛めにくくなります。
既に痛めている場合、痛みがある場合はやめましょう。
壁に手をついて伸ばす

- 壁に対いて横向きに立ち、身体の後ろ側で壁に手をつき、壁側の足を一歩前に踏み出します。
- 反対の手も壁につき、壁にもたれかかるように体重をかけていきます。
- 顔を壁の反対側に向けて、さらに肩を伸ばしていきます。
15~30秒キープして、反対側もやりましょう。
手を肩において回す

- ひざを揃えて椅子に座り、指先を肩に乗せます。鼻から息を大きく吸い、背筋を伸ばしてスタートします。
- ひざ先で小さな円を描くようにゆっくりと内回しで胸前まで回します。
- さらひじ先を胸前から肩の上に向けて回します。このときひじが天井に向くまで回しましょう。
- ひじを1回転させたら、どんどん円を大きくするように広げて回し続けます。
内回し、外回しを各1分間続けます。
床に両手・両膝をつけて伸ばす

- 両手、両膝を床に付け、正座のような状態からバンザイして上体を前に倒します。
- 左肩を軸にして円弧を描くように、外側に向かって動かします。
- 左腕が肩と水平になったら顔を右へ向け、左肩をさらに沈めて肩甲骨を締めます。
30秒キープを、左右それぞれ3セット行いましょう。
クライマーが気を付けるべき6つの習慣
肩を痛めないためにはどうすれば良いか?この章では、肩を守りながらクライミングを楽しむための6つの身に付けておくべき習慣をご紹介します。
1.課題の選び方に気を付ける
とにかく、”肩に痛みが出る課題”は触らないことです。ガストン、デッドポイント、足が切れる課題は、できるだけ避けた方が無難です。
「登っている最中は大丈夫だけど、終わった後に痛む…」というのもダメです。無理せずに肩に負荷の少ない課題を選びましょう。
2.1回のトレーニングは2時間まで
長時間ジムにいると、ついつい「この課題を落としたら…」と粘ってしまいますよね。でも、あなたの肩にとってはその”1本”が命取りになることも…。
集中力が高い1~2時間で切り上げるようにすると、ケガのリスクも下がります。
3.ウォームアップ&クールダウンをサボらない
寒い季節や仕事帰りのジム、肩や背中の筋肉がカチコチのまま壁を登っていませんか?
- 登る前に肩周りをしっかりほぐす
- 身体が温まってから課題のグレードを上げる
- 登った後は、広背筋や肩甲骨をストレッチしてリセット
この「前後のひと手間」が、肩の故障のリスクを下げます。
4.レスト日のセルフケア
「登らない日=身体のメンテナンスデー」として、ストレッチや軽めのエクササイズを取り入れましょう。
この記事で紹介したセルフケアを、自宅で毎日積み重ねていきましょう。
5.栄養もしっかり!身体は食べたものでできている
意外と見落としがちなのが、栄養面のケアです。
- プロテインの摂取(効率的にタンパク質を摂取)
- ビタミンC(炎症を抑える)
- コラーゲン・ヒアルロン酸(関節のサポート)
クライマー向けのプロテインやサプリを取り入れることも考えましょう。
ボルダリングにプロテインは必要?効果的な摂取方法とおすすめ商品を徹底解説!の記事はこちら
クライマーのためのサプリメント選びの記事はこちら
6.登る頻度は多くても週1,2回
痛みがあるうちは登らないようにすることが1番ですが、どうしても登りたいときは週に1回、多くても2回が限度です。
毎日のように登っていた人取っては辛いかもしれませんが、回復のためには休むことが1番です。登ってもトレーニングの時間は1~2時間にしましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
肩の痛みは地味にキツいですよね。登っているときは楽しくても、あとからジワジワ痛んできて…。
今回紹介した、
- 原因を知ること
- 痛みを放置しないこと
- 日々のケアや習慣を見直すこと
この3つを意識して、故障の少ない楽しいクライミングライフが送っていきましょう!
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