クライミングがなかなか上達しないと感じていませんか?実はその原因は「重心」にあるかもしれません。
重心の位置や移動を意識するだけで、ムーブが格段にスムーズになり、一段上のクライマーになることができます。
この記事では、重心の基本的な知識から、重心の位置、重心移動のコツについて詳しく解説していきます!
クライミングの技術の本質は、”重心のコントロール”です!
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重心の位置
重心は上肢,下肢,体幹,頭部などの身体全ての質量が合わされた点のことで、人の身体ではこの身体重心点に重力が作用します。早い話、重心とは身体の質量の中心ということです。
直立した状態では、重心の位置は骨盤の中央(おへその下あたり)と解釈されていますが、これはおおよその位置であり、姿勢の変化によりその位置は変わります。
重心の位置は体格、性別、大人と子供でも多少の違いがありますが、一般的には
女性の重心の位置は足底から55%の位置(身長160cmの場合は、160×0.55=88cm)
男性の場合は足底から56%の位置(身長170cmの場合は、170×0.56=95.2cm)
にあると言われています。また、子供の場合は相対的に頭が大きくなるので、大人よりも重心は少し上になります。
重心の基本的な考え方
クライミングでは、重心を適切にコントロールすることで、効率的に力を使い、バランスを保つことができます。
壁の中でバランスを保つということは、腕への負担を減らし、より難易度の高い課題を登ることができます。
壁の中では、ホールドを持っている手と、フットホールドに置いている足を結ぶ直線を軸として、その軸に重心が近いほど身体は安定し、腕への負担は少なくなります。
例えば左手と左足でホールドを保持し、右のホールドを取ろうと身体を伸ばせば、重心は軸から離れ、身体はバランスを崩して壁から離れる方向へ回り始めます。(画像右)
重心を落とす
クライミングでは重心は基本的に下に落とした方が身体が安定します。重心を落とすメリットは大きく分けて2つあります。
1つ目は、重心を下げることによって、身体は真下に引っ張られるので、スローパーなどの持ちにくいホールドでも保持がしやすくなります。
重心が上がるほど、身体は壁から離れる方向へ引っ張られるので、持ちにくいホールドほど、さらに持ちにくくなります。
2つ目は、腕を伸ばして登ることができるからです。クライミングでは背中の筋肉を効率的使った方が、大きな力が発揮できます。
腕が曲がった状態では、腕の筋肉を多く使ってしまいます。腕を伸ばして登ることを意識すると、自然と重心は下になります。
重心を上げる
クライミングでは重心を上げなくてはいけない場面もあります。
アンダーホールドを持つ場合は、重心が下にあればあるほど、保持することは難しくなります。アンダーホールドがどうしても持てない場合は、思い切って高い位置のフットホールドを踏んで、重心を思い切り上げてみてください。
壁と重心の距離
重心は上下だけでなく、前後にも意識を向けなければいけません。
重心(腰の位置と考えてください)が壁から離れれば離れるほど、腕への負担は大きくなります。壁から2倍離れたら、腕への負担は2倍になるとまで言われています。
身体が引きつけられる力に逆らってしまうので、余計な力を使ってしまいます。身体が力んだ状態では、スムーズに次のムーブに移ることが難しくなります。
特に傾斜が緩くなればなるほど、重心(腰)の位置は壁に近い方が登りやすくなります。
重心と置き足を近づける
クロスムーブ
画像の左側は、一見すると良さそうなムーブに見えますが、軸となる直線から重心の位置が遠いので、ホールドを取った後の振られが大きくなることが考えられます。
クロスムーブをする際にも、置き足と保持した手を直線で結んだ軸に重心が近い方が、振られも小さく、確実にホールドを保持することができます。
カウンターバランス
ダイアゴナルなどのカウンターバランスのときも、重心と置き足との距離は重要になります。
画像左のように、腰が下がった状態で次のホールド手を伸ばすと、置き足と重心が遠いため、引き手に余計な負担がかかり、力任せなムーブでバランスが崩れてしまいます。
画像右のように腰を入れると置き足に重心が近くなるので、バランスが良くなり、次のホールドに手が届きやすくなります。
重心の移動
重心を動かすことによって、次のホールドを掴むテクニックもあります。
サイファー
難易度の高いテクニックである、サイファーも重心の意識がとても重要となります。
サイファーが苦手な人は、”足を振って飛ぶ”というイメージを持っているのではないでしょうか?失敗する人の多くは、ただ足を振っているだけになっています。
サイファーは、足を振った勢いで飛んでいるように見えますが、足を振る最大の目的は、重心を動かすための予備動作です。
[足を振る→膝が上がる→腰が動く→重心が移動する]この一連の流れがサイファーになります。
足を振るところからの動作だと難易度が高いので、サイファー初心者の方は、まずは膝蹴りをするようにサイファーをする意識をしましょう。
ハイステップ
重心を動かして次のホールドを取るムーブは、サイファーの他にハイステップが挙げられます。
ハイステップでホールドを取る場合は、画像左のように直線的に重心を動かす方法と、画像右のような弧を描くように重心を移動させて、ホールドに乗り込む方法があります。
保持しているホールドが持ちやすいホールドの場合は、腕の疲労が溜る前に、直線的な速いムーブを選択するの良いでしょう。
しかし、保持しているホールドが悪く、直線的に引きつけられない場合は、弧を描くように重心を動かし、一度フットホールドに乗り込んでから次の手を出すようにする必要があります。
まとめ
クライミングにおいて、重心を意識することは、一段上のクライマーになるためのカギとなります。
重心の位置、壁との距離、軸との関係を適切にコントロールすることで、無駄な力を使わずに登ることが可能になります。
次回のクライミングでは、ぜひ重心を意識した動きを試してみてください!
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